直木賞作家とダンボール [ダンボール]
今年デビュー20周年を迎える小説家西加奈子さん。
2004年小説『あおい』でデビューし、
13年に『ふくわらい』は河合隼雄賞、
15年には『サラバ!』で直木賞を受賞しています。
『きいろいゾウ』の映画化や、
17年に発売された『i(アイ)』が10万部以上を
売り上げるベストセラー作家です。
彼女が文学と同じく情熱を傾けているのが絵画です。
常に小説のテーマを絵画にして表現してきた西さんは、
幼少時から絵画を手がけ、
ダンボールにクレヨンで描くという
独特の方法を確立しました。
生活の中にあふれるダンボールという素朴な素材に、
クレヨンで大胆に描いていきます。
その作品は、小説の表紙絵や挿絵として使われています。
それらの作品たちは、ストーリーを理解する
鍵となる存在となっています。
クレヨンが厚く塗り重ねられたダンボールには、
作家のエネルギーが溢れています。
小説にちなんで、個展「i(アイ)」も開催されました。
そこでは、ギャラリー空間全体を使った
インスタレーションアートを発表しています。
アメリカ人と日本人の夫婦に引き取られた
主人公「アイ」がアイデンティティを
獲得していく物語『i(アイ)』の登場人物の
心の機微をとらえた抽象絵画13点を展示されました。
作品群を前に西さんは、
「小説では得られない快感を絵では得られるし、
絵では得られない快感を小説から得ることもできる。
どっちも私には大切だし必要なもの」
と語っています。